とある日、渋谷まで一人で出かけ、映画を見てきました。
本当はもっと早く見に行きたかったのだけど、面倒くさがりやを発揮しまして、今日行こうと思った日に雨が降ってると明日にしようとなり、次の日に行くつもりが今日は一段と寒いから無理となり。行きたいのに一人だと面倒くさがりの一面が全面に出てきて引きこもりになるこの性格、なんとかしたいものです。
その頃自分の中で優先順位が一番高かった家探しがまだ暗中模索状態だったのもあり、心に引っかかっていて、物件探しに集中した方がいいんじゃないのかという気持ちが多少あったのもあります。映画だけでなく友達に会うのにも少しブレーキをかけていたように思います。
そんな家探しがやっと一段落するなと感じられた頃、心の余裕ができてようやく訪れたのは、渋谷のユーロスペース。
お目当ては
「築地ワンダーランド」です。海外での上映を最初から視野に入れて、TSUKIJI WONDERLANDという英語でのタイトルもつけられてます。
今豊洲移転問題が話題になっている築地市場のお話です。
こちらの映画、築地市場を一年半もの間取材し撮影したドキュメンタリー映画です。
誤解を恐れず言えば、地味な映画だと思います。
ハリウッドのジェットコースターのようなスリル満点迫力満点の映画では決してないし、フランスのアーティスティックな映像で伝えるアンニュイなラブストーリーの映画でもない。
ただ淡々と築地市場を追っかけて、そこに何があるのかを伝えてくれます。
この映画を見ると、日本人なのに築地市場について全然知らなかったな〜と思いました。
築地なんていつでも行けると思っていて、今まで行ったことがありません。
以前海外から友人が遊びに来て、朝4時半に行くから一緒に行こうと誘われたことがあるのに、持ち前の面倒くさがりやを大いに発揮し、朝4時半なんて無理だからと断ってしまったことがあります。そんな自分を今は叱ってやりたい!
そして、観終わった後、日本人でよかったーと思いました。
四季を愛でることのできる日本人でよかった。お魚の味を堪能できる日本人でよかった。そんな気持ちになりました。
(もちろん日本人以外でも四季を慈しみ、お魚の味をわかる人はたくさんいると思いますが、映画を観終わった時の率直な感想です。)
それから、お魚を食べたくなりました!
食文化って大事だな〜と思い、この日本の食文化を引き継いでいきたい、なくしたくないという気持ちが高まり、自分でも魚をまるごと一匹買ってきて綺麗にさばけるようになりたい!という欲求が出てきました。
魚が食卓に並ぶまで、様々なプロフェッショナルな人に支えられてやってくるんだなと学ぶことができました。魚を釣る人、運ぶ人、その中から選ぶ人、買ってきてお店で調理して私達一般消費者に提供する人(寿司屋や懐石料理屋はもちろん、フレンチレストランも)がいて、初めて自分の口に美味しいお魚を入れて魚の味わいを堪能できるのだなという事実を知ることができました。
魚という命をいただくこと、そしてそこに関わるたくさんのプロフェッショナルな方達に支えられてお魚は消費者のところまでやってくるのだなと思うと、その方達全てに感謝をしてお魚をいただきたいという気持ちが強くなりました。(書いていて思ったのですが、これはお魚だけでなく、お米やお肉、果物や野菜など全てに言えることかもしれませんね。)
「築地ワンダーランド」の映画の中では、特に「魚を選ぶ人」である築地で働く「仲卸業」という目利きのプロに注目して描かれていきます。
ただ単純にいいお魚を選ぶのではなく、買い手(お寿司屋さんなどお店の方)の目的にそったものを提供できるのがプロなのだというようなフレーズが何度も出てきて、「プロとして仕事をする」ということも改めて考えさせられました。
「いいお魚かどうかは最終的にはお客さんが決めることであって、買い手が満足してくれなければいいお魚ではないんです。」というような言葉も心に残りました。値段が高くていいお魚を見つけるのは容易く誰にでもできるけど、買い手が求めているお魚(どう調理するのか、お寿司で生で出したいのか、揚げ物なのか、それともフレンチなのかなど)を瞬時に判断して、今出ている魚の中で条件にあう最高の素材を見つけてくるということ。それがプロの仕事なんだなという視点で見てると、築地で誇りを持って働いてる仲卸業の方達がしびれるほどかっこよく見えてきます。
食べることが好きな人はもちろん、仕事をしてる人にもおすすめできる映画だと思います。
一年半もの間、どれだけの取材と撮影をしてきたんだろうか、そしてその一年半撮り貯めた膨大なフィルムを編集するのに、どれだけの作業をしたのだろうかと思いを馳せ、その丁寧な取材と美しい映像に魅了されます。空撮もあり、築地に普通に行っただけでは見られない映像も必見です。
(お写真2枚は映画サイトからお借りしました。)実はこちらの映画、2年前にクラウドファンディングで寄付を募ってスタートしました。築地市場が移転する前になんとかフィルムに残したいという気持ちでクラウドファンディングを活用して資金を集めたようです。
そして、この映画の監督とプロデューサーと以前同じ会社で働いていたことがあり、そんな二人の活躍ぶりに触発され、陰ながら応援したくて心ばかりの寄付を私もさせてもらいました。(出資者にはギフトとして前売券が送られてきたので、今回はその前売り券で見ました。)
最近は二人に連絡もとってないのでここに来て友達と言うのもおこがましいなぁと思い、なんと表現していいのかわからないのですが、監督とプロデューサーを昔から知ってるので、彼ら二人の活躍はとても眩しくて、有言実行している姿を見ては本当に尊敬するし、映画が好きでいつか映像を撮りたい、映画監督になりたいと言っていたのを覚えているので、ベタな言い方になりますが、夢って叶えることができるんだなぁと感動させてもらいました。(この映画は遠藤尚太朗監督の劇場用映画初監督作品です。)
シンガポールで上映場所を検索したら、今日だと2つしか上映場所が出てきませんでした。もしかしたら今夜が最後の上映なのかもしれません。(私が書くのが遅くなったばかりに…つくづく残念すぎる自分。)
今夜、21:50と遅い時間ですが、The Projectorという映画館で上映があるようです。タイのスーパーと言われているゴールデンマイルコンプレックスの近くにあるようです。
ご興味ある方がいたら、劇場まで足を運んでいただけたら嬉しいです。
私は、世界で唯一無二のフィッシュマーケットと言われる築地市場がある日本にせっかく帰ってきたのだから、お魚を堪能しまくりたいと思います(๑˃̵ᴗ˂̵)و
やっぱり最後は食いしん坊な桃太郎でした。